倉鉢徹のページ: 新書-封建制の文明史観-
 

2008年11月25日

新書-封建制の文明史観-

■何を主張したいのか掴みづらい本が「封建制の文明史観」
「封建制度の『鎌倉御家人』、『ドイツ騎士団』『エジプト奴隷王朝団長群』などだけがモンゴルの侵攻を防げた」と書きつつも、
個々の勝利条件は封建制度に由来するとはとても思えないような書き方。

その後は、明治日本以来の「封建制度は悪とか時代遅れの制度であった」とする批判的な学説の系譜と、戦後日本の復興期を迎えて以降の「封建制度を肯定的に評価する」動きの勃興を学者単位で列挙。

■モンゴルに大敗したロシアの国家群やハンガリー王国を取り上げているが、これらが特に中央集権的であることでモンゴル兵団への対応が後手に回ったとは到底思えない。

また、封建制度の江戸時代から一足飛びに近代化を成し遂げた「日本」と中央集権で陋習を守り続けた「清」と「朝鮮」の対比は本書には存在しない。
むしろ、封建と言われた江戸時代の存在が各地域に活力を与え、商人や豪農などに資本の蓄積を促した。
一方、「清」や「朝鮮」は中央からの役人が一律に税をむしりとるばかりで、地方を豊かにする政策がなんら行われなかったことが、近代化を遅らせる結果になった、というのは誰かが書いていた。

著者は、肯定であれ、否定であれ、自分が立脚する側に沿って「封建制度」そのものの仕組みとか利点や欠点について考察する方向にテーマを絞るべきであったように思われる。


「封建制の文明史観」今谷明、PHP新書
封建制の文明史観 (PHP新書)
PHP研究所
2008-11-15

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posted by kurapat at 11:22| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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