倉鉢徹のページ: モリソンの太平洋海戦史
 

2008年12月02日

モリソンの太平洋海戦史

「モリソンの太平洋海戦史」は、原版は米国海軍の第二次世界大戦史として太平洋と大西洋の両方の戦いに触れているのに、大西洋側は日本人には受けない、という判断の元に出版社が太平洋部分だけの抄訳にして出した本。

正面切っての「ソロモン海海戦」などの殴り合いのような戦いばかりでなく、日本の貧弱な護送船団とそれに襲い掛かる米海軍潜水艦の戦いも書かれている。

日本人が思い描くような、はでなぶつかりあいばかりではない、太平洋戦争。

■省かれた大西洋の戦いは、地味にしか映らない「護送船団」の戦いがほとんどのはず。宣戦布告はしていないものの大西洋で米海軍は英連邦の船団をアイスランド近くまで護衛し、英海軍に引き継いでいた。途中で船団を襲うドイツ海軍のUボートとは当然交戦している。

また、護衛戦は行われていたものの米東海岸は真珠湾奇襲を受けてのドイツ宣戦布告後も、警戒がなされていなかった。そこにつけこんだデーニッツの「ドラムビート作戦」で船舶は撃沈されるばかり。


■大西洋部分を省くことの意味というのは、「光人社は日本人のウェットな部分に訴えるような戦記ノンフィクションしか出す能力がない」とも読み解ける。
後世の歴史家の冷徹な目線に立脚する「戦史」を光人社が出せる日が来るかどうかあやしいものだ。


「モリソンの太平洋海戦史」光人社
モリソンの太平洋海戦史Samuel Eliot Morison
光人社
2003-07

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posted by kurapat at 09:46| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 世界史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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