倉鉢徹のページ: 新書-皇軍兵士の日常生活-
 

2009年03月18日

新書-皇軍兵士の日常生活-

■足軽と比較される旧軍の兵士のように、あまり受けそうに無い題材である旧帝国陸軍兵士の暮らしの再評価本「皇軍兵士の日常生活」が登場。

都市生活者が描いた旧軍の体質は陰湿というものが多い。しかし、農村出身の徴兵者の心象はそれよりも良いものだったという話がある。当時の農村よりは軍隊生活のほうがましだったというもの。

しかし本書の主軸は、「建前の平等」と「実態の不平等」が混在する旧帝国陸軍の一般兵士の日常生活の解説本。

内務班生活が食のアンバランスを産み、新兵の残飯あさりが発生とか。

社会自体の仕組みが徴兵者の家族の生活保障面で不備だらけであった。所属する階層ごとに暮らし向きに大きな開きがあった。
大企業の正社員の家族はそこそこに十分な補償を会社から得られた。嘱託社員も実態として松本清張が嘆いた話とは異なり、松本一家も印刷職工だった新聞社から正社員には劣るものの補償を得ていた。

しかし、そのような仕組みを整備するゆとりの無い会社や市井の人々の大半は生活苦にあえいでいた。

戦時になり、前線を中心に兵隊が階級による統制になかなか従わない士気の低下が見られてきた。「メンコの数よりメシの数」というように階級よりも兵役の長さにモノを言わせる生活態度が一般兵士には浸透していた。

戦死の認定と伝達において、遺族との意識のずれが生まれたが故に、現在の失踪人の死亡認定につながる仕組みが整備された。

■今何故このような本が出たのか?現実に噛み合わないトンチンカンな「徴兵議論」との兼ね合いらしい。精神論を振りかざして、徴兵制復活を叫ぶ人がいる。
しかし、世界の趨勢は徴兵制廃止と志願兵に頼る形の兵員削減。

専門技術を要する現代の兵士においては、徴兵制は未熟な兵士の大量生産でしかなく、弾除け以外の使い道が無い。
したがって、ドイツのように徴兵者から福祉などのボランティアも振り分けている国やフィンランドを除けば、先進国では徴兵は行われていない。
ようは、恋率が悪い行為でしか無いとして切り捨てられつつあるのが、徴兵制。


「皇軍兵士の日常生活」一ノ瀬俊也 、講談社現代新書

皇軍兵士の日常生活 (講談社現代新書)
講談社
2009-02-19



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posted by kurapat at 10:18| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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